日本の南洋統治の基幹史料、「南洋庁公報」を初公刊。刊行にあたって 平成二十一年五月 ゆまに書房 編集部 第一次大戦後、旧ドイツ領であった南洋群島を委任統治領として統治するために一九二二(大正一一)年に発足し、敗戦により消滅した南洋庁が発行していた「南洋庁公報」を復刻。 台湾、朝鮮の総督府、樺太庁と並び、日本の植民地統治の一翼を担った南洋庁の歴史は、いくつかの研究書や復刻書などがありますが、史料の利用環境が不完全であり、他地域よりも研究が遅れているのが現状のようです。この、南洋庁統治の基幹史料である「南洋庁公報」は、諸分野のより専門的な研究に益すると考えられ、他の地域との比較研究に役立つ史料であると言えるでしょう。 収録期間は、一九二二(大正十一)年四月の第一号から、現時点で確認されている一九四四(昭和十九)年一月四日の第五七二号までの二十二年間です(この間「号外」も多数存在)。残念ながら一九四〇(昭和十六)年前半は現時点では所蔵機関がみつからず、収録がかないませんでした。底本は、米国議会図書館所蔵原本を撮影した国立国会図書館マイクロフィルムを中心に、ハワイ大学図書館等所蔵のもので可能な限り補いました。また、この貴重史料の利便性を高めるべく、別巻には「解題」「解説」をはじめ、「主要目次」「参考資料」を収録する予定です。【南洋群島】南洋庁が統治していた地域である「南洋群島」は、赤道以北の太平洋西部にある、マリアナ、マーシャル、カロリン諸島からなっており、チャモロおよびカロリニアンの人々が生活の場としてきた地域である。米領グアムは除く。現在は、北マリアナ諸島、マーシャル諸島共和国、ミクロネシア連邦、パラオ共和国となっている。一九二二年に設置された南洋庁は、南洋群島をサイパン、ヤルート、ポナベ、トラック、ヤップ、パラオの六行政区に分け、支庁を置いた。なお、一九四三年一一月には、東部(トラック諸島夏島)・西部(パラオ諸島コロール島)・北部(サイパン島)の三支庁に統合している。
セブンネットショッピング