この10年間で臓器移植後の病理診断基準については、Banff国際分類を初め、それぞれの臓器で病理診断基準の改定が行われており、特に抗体の関与した拒絶反応に関する様々な知見が増加している。また、この間に、様々な免疫抑制剤(mTOR阻害剤、各種抗体製剤など)が開発され、拒絶反応の臨床像もかなり変化している。#11;また、法律施行後、徐々に脳死臓器移植数は増加し、平成21年1月末現在で、80例のドナーから、心臓63例、肺57例、心肺同時1例、肝臓62例、膵臓56例(膵腎同時44例)、腎臓141例、小腸4例の脳死臓器移植が施行された。肺ならびに膵臓の移植の実施数も増加し、肺、膵臓についても病理診断基準を成書とする必要がでてきたと考えられ、第二版を発刊することになった。#11;本来、両学会から委員を選出し、ガイドラインを作成すべきところであるが、第44回日本移植学会学術総会で病理セミナーを開催するにあたり、急遽本書を作成することになった。各臓器移植の臨床経験の豊富な移植医と病理医を選任し、各項の記載は各々の委員に委ねることになった。第一版の構成を尊重しながら、各臓器の特徴を考慮して、本書を作成した。#11;また、第一版は、国内での症例数や病理標本が少ないことから、基本的に米国のそれを踏襲しなければならなかったが、この10年間の経験から各移植施設の協力を得て、ほとんどの組織図を国内の標本から作成できたのも特筆すべき点である。また、第44回日本移植学会学術総会で病理セミナーにおける執筆者の講演内容を録画したDVDが添付されており、ヒト移植臓器拒絶反応の病理組織診断をする上で、非常に役に立つものと期待される
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