北山寿安は、江戸時代に「浪花随一」といわれた漢方名医である。長年にわたり、長崎や大坂で活躍して漢方医学界に大きな足跡を残した。小林製薬、武田薬品そして塩野義製薬などの大手薬品メーカーの本社がある大阪・道修町の名前の由来は、北山寿安と関係があるという。本書では、寿安の生きた時代、当時の日中の思想状況も視野に入れて北山寿安の革新的医論形成のプロセスを論じ、さらには、その業績を反映する『北山医案』の現代語訳及び解説を行って彼の臨床の実像と医療思想を明らかにする。また、これを文化現象として考えつつ、医学に限らず儒学や史学、日中交流・貿易などの面において史的、文化的角度からも視野に入れて考察する。
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