フランスの小説家フィリップ・ソレルスが中心となって創刊された季刊前衛文芸誌「テル・ケル」(1960‐1982)。第二次世界大戦後、アルジェリア戦争中という不安定な時代に、戦う集団「アヴァンギャルド(前衛)」の旗手として繰り広げたさまざまな活動を丹念にたどり、「テル・ケル」の思想、文学、政治運動の全容を明らかにする。「テル・ケル」の活動の反響は、ヨーロッパ各国、アメリカ、そして日本にまで及んでいる。しかし、日本で「テル・ケル」の活動の全体像が紹介されることは、これまでなかった。本書は、フィリップ・ソレルスへのインタビューの成果を交え、「テル・ケル」から「ランフィニ」誌への継続を前提に、「テル・ケル」が歴史に刻んだ足跡の意味を問うものである。1章 「テル・ケル」と(その)時代2章 鬼っ子文芸誌の誕生3章 創刊号4章 ヌーヴォー・ロマンからアルトー、バタイユへ5章 「テル・ケル」号のゆくえ6章 バルトとフーコーが「テル・ケル」にしたこと7章 「テル・ケル」の選択、「テル・ケル」の賭8章 Never explain,never complain.「言い訳はしない。不平は言わない。」9章 失われた「時代」を求めて季刊前衛文芸誌「テル・ケル」。94号で終刊するまで、「アヴァンギャルド」の旗手として、フランス国内だけでなく、各国へ影響を与えた"戦う雑誌"の足跡の意味を、初めて日本から問う画期的な研究。
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