日本と朝鮮を結びつけた「出版」という知識の源泉―。朝鮮最大の知識人・崔南善の活動を中心に、近代朝鮮の思想・文化・運動を形作った「出版」の歴史を明らかにする。序章 「一国史」を超える朝鮮出版文化史―研究の対象と課題第1章 出版社新文館の設立と『少年』の創刊第2章 新文館の児童雑誌と日本の児童文学界―朝鮮の植民地化と武断政治のなかで第3章 『青春』が目指したもの―「世界的知識」の発信と民衆啓蒙第4章 新文館の刊行物と女性第5章 シリーズ書籍という試み―韓国併合前後の単行本第6章 新文館初のロングセラー『時文読本』の編集過程―三・一独立運動前夜の単行本第7章 時事週報『東明』と新文館の終焉―三・一独立運動後の崔南善の出版活動終章 朝鮮出版文化の誕生日本と朝鮮を結びつけた「出版」という知識の源泉――朝鮮最大の知識人・崔南善の活動を中心に、近代朝鮮の思想・文化・運動を形作った「出版」の歴史を明らかにする。本書は、近代朝鮮の出版文化の形成過程を、同時代の日本の出版界との関係を通して実証的に解明する。1919年3月に植民地期朝鮮最大の民衆運動である三・一独立運動が起こると、朝鮮総督府は武断政治から文化政治へと統治政策を切り替えた。それによって1920年代には『開闢』をはじめとする雑誌が続々と刊行され、今日まで継続している『東亜日報』や『朝鮮日報』といった朝鮮人経営の民間新聞も創刊された。1920年代に開花する出版文化の基礎を築いたのが、三・一独立運動の独立宣言書の起草で知られる崔南善が興した出版社・新文館である。新文館は、1908年に漢城(現・ソウル)に設立された朝鮮初の本格的な出版社であり、朝鮮「初の近代雑誌」と称される『少年』や、植民地化されて間もない1910年代の朝鮮で人気を博した「総合教養」雑誌『青春
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