自動車運転は、身体機能、感覚・認知機能や精神心理機能などあらゆる面が関与しそれらが統合して行われる複雑な活動といえる。本書は、「Handbook for the Assessment of Driving Capacity」の日本語版であり、運転技能評価と自動車運転リハビリテーションに関するこれまでの研究結果や知見をわかりやすく解説している。第1部では実車前評価と路上運転評価を含む包括的な運転評価の概要を、第2部では、頭部外傷、認知症、脳卒中、その他神経精神疾患に分け、自動車運転に影響する要因や疾患特有の注意事項などがまとめられている。その他、薬物による影響や自動車運転に関わる法規制についても紹介。運転再開に向けたより効果的なアプローチを行うために、これらの多くの知見が重要な参考となるだろう。第1部 臨床場面における運転技能評価(路上運転評価と実車前評価;運転再開に向けたアプローチと運転支援装置;運転相談と介入方法)第2部 運転研究のトピックス(自動車事故の人的要因;自動車運転と頭部外傷;自動車運転と認知症;自動車運転と脳卒中 ほか)"監訳にあたって 本書はMaria T. Schultheis博士, John De Luca博士, Douglas L. Chute博士の編著によるHandbook for the Assessment of Driving Capacityの日本語訳(邦訳「自動車運転評価の手引き」)である。生活において自動車運転の必要性が高い米国では、もともと何らかの障害や問題を持つドライバー(リスクドライバー)への関心も高かったが、本書でも述べられているように、自動車運転をめぐる医学的側面についての知見はこの10数年で飛躍的に増大している。これらの知見としては、自動車運転にかかわる認知機能、リスクドライバーの運転相談、運転の可否を判定する評価法、運転中断時
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