だれが、いつ作り出したのかもしれない伝承わらべ歌は、それぞれの時代の影響を受けながら、子供の共感を呼ぶのか、次々と世代を超えてうたい継がれている。そうはいっても昔とは異って、子供同士一緒に遊ぶ機会の少なくなった現代では、いつしか伝承の糸が切れてしまったものも少なくない。本当に寂しい限りである。ここに収めたわらべ歌は、明治や大正生まれの方々からうかがったものも多く、歌の詞章から江戸時代やそれ以前に源をたどることができるものもある。それぞれの時代のものの考え方がうかがえるのも興味深い。本書ではこれらの解説にかなりスペースを割いておいたが、各地に残された文献を活用しながら時代や地域を超え類歌を示して、読者に理解を深めていただくよう配慮した。法師法師どこの子(植物の歌・鳥取市)ええこと聞いた1(ことば遊び歌・松江市)ええこと聞いた2(ことば遊び歌・鳥取県日野郡日南町)向こう通るはお千じゃないか(手まり歌・島根県仁多郡仁多町)下手の子供衆(手まり歌・鳥取県八頭郡佐治村)こっから上の川上の(手まり歌・島根県隠岐郡海士町)大門口から(手まり歌・鳥取県西伯郡日吉津村)じいとばば寝とれ(手遊び歌・島根県大原郡木次町)次郎や太郎や(子守歌・鳥取県岩美郡福部村)ねんねんよころりんよ(子守歌・島根県鹿足郡柿木村)〔ほか〕誰がいつ作り出したかも知れない伝承わらべ歌は、それぞれの時代の影響を受けながら歌い継がれてきた。本書には、山陰地方で集めたわらべ歌を収録。各地に残された文献や類歌を紹介しながら丁寧に解説する。
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