「三方よし」という言葉が近年有名になり、近江商人すなわち三方よしというとらえ方をされるが、近江から他国に出かけ、やがて各地で店を持ち他国で商いを展開した近江商人は、その発祥地により、活躍した時代や取り扱った商品が大きく異なる。本書では、近江商人の中でもとりわけその人数が多く出店数も格段に多い日野商人の実態を詳述したものである。これまで、蒲生氏郷起源説や製薬起源説が有力視されてきたが、日野椀の歴史を中心に商人が誕生し全国にその活躍の場を見出したことを主張している。著者が館長を務める近江日野商人館には多くの情報が集まり、著者の懸命の調査結果が凝縮された本書は、日野商人の実態に迫り、これまでの定説を覆すべしとの迫力あふれる良書。
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