男に生まれたからには誰だって、賭事で生計をたてたりする、ちょっと世間様からはずれた奴に憧れたことってあるでしょう? まあ、どこまで真剣に成り切っちゃうかは個人差あるだろうけど、「明日をも知れぬ毎日で、信じられるのは己の腕のみ‥」なんてものにゾクゾクこないのは、男の子じゃない(笑) 実際は、無難に就職して平凡な人生を送る人がほとんどだろうけど、でも今のご時世、その就職すらままならない。「未来が見えない!」とお嘆きの、そんな目的を見失った迷子さんたちにこそ、この「天牌」はお奨めなのです。‥もちろん、皆さん゛雀ゴロ″になれって言ってるわけじゃないですが‥。 とにかく、この主人公が漫画の主人公としては、意外と弱い! まあ天性の才能は持ってる奴なんだけど、雑魚キャラの揺さぶりにすぐ動揺したり、兄貴分にすぐ助言を求めたりと、なかなかモタつく展開を見せてくれる。しかし「俺はこの道で生きていくんだ」とその都度、踏ん張って、フリー雀荘から高レート雀荘へ、遂には雀荘荒らしと着実にステップアップしていく。そして麻雀学生大会へ参戦。 第4巻は、この学生麻雀選手権の模様をド迫力なタッチで追う。決勝卓を目指し、しのぎを削る全国の猛者たちがそれぞれにイイ味だしてます。運の流れ、牌の寄りつきを丁寧に追いながら、心の持ちよう、そして敗者までフォローしつつ、怒涛の闘牌、闘牌、また闘牌! 果たして決勝へ進むのは誰だ!! この辺りは、まさに息もつかせぬ展開だ。 昔の安易な麻雀劇画の展開を、見事に裏切りつつ、リアルな牌譜と地道なストーリーで、まさに麻雀で食ってくにはこうしろって教科書ですね。これは。 今までさんざん麻雀劇画を描いてきた漫画家さんと原作者さんの、お馴染みゴールデンコンビが、腰を据えて取り組んだ初めての週刊サイクルの本格麻雀ドラマ‥これだけリキ入ってて、面白くないわけない! いやホント。そして随所に見られる、麻雀を愛するこだわり! 牌の拭き方から、点数表の記帳のマナーに至るまで、勉強になります。はい。 (漫画ライター 全ツッパ太郎)
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