本書の特徴といえば、財務マネジメントに「戦略」という言葉を冠した点にある。もちろん、「戦略」を付している理由は、戦略的視点からの考察を重視しているからに他ならない。ここでいう「戦略的」とは、財務論の観点からいえば、株主をとりまく利害関係者の現実にみられる行動、およびそれらが企業の財務意思決定に与える影響を考慮に入れることを意味する。そして、この点の考察は、当然に財務目的の考再にもつながる。そこで、いかなる財務目的が適当であるかが問題となるが、本書では、「長期的企業価値の最大化」を想定している。
楽天Books