駆け出し絵本作家の小鳥遊つぐみは“耳付き症”と呼ばれる、犬のような耳と尻尾、そして“発情期”という犬の生殖本能が芽生える珍しい疾患を抱えながら絵本作家とカフェ「PLUME」の店員のダブルワークで生計を立てている。「どんな人間にも発情してしまう」という耳付き症特有の症状は、医療が整っていない時代には世間を騒がせたことも多く、根強い差別があるために発症者への周囲の目は冷たい。だが担当編集である白石は、つぐみのことを耳付き症だと知った上でデビューから面倒を見てくれており、そんな頼りがいのある彼に密かに想いを寄せている。そんなある日、つぐみは住んでいたアパートを追い出されることになってしまった。途方に暮れていた時、事情を知った白石から「次の家が決まるまで空いている部屋を貸す代わりに、耳付き症の甥の子育てに力を貸してくれないか」と言われ、気後れしつつもその場で提案に乗ったつぐみだが、ひとつ屋根の下で白石と過ごすうち、彼が見せる心優しい一面にますます惹かれていき…?
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