・生体膜”は細胞内外、あるいは細胞内の区画の仕切りを担う構造体で、リン脂質、コレステロール、スフィンゴ糖脂質を中心とした脂質二重膜と、膜貫通型タンパク質、あるいは表在型膜タンパク質から構成されている。
・近年の質量分析計の進化や新規プローブの開発により脂質分子の組成や局在の解析が可能になりつつある。また、膜貫通型タンパク質も、クライオ電子顕微鏡の高性能化に伴って続々と構造が明らかになってきている。
・本特集では、脂質の非対称性をもたらす酵素群の分子同定から、オートファジー、さらにがんや神経変性疾患の発症や進行における生体膜脂質の新しい役割の解明など、最先端の生体膜研究の成果を紹介している。
■生体膜研究の基礎と応用
・はじめに
・生体膜リン脂質生合成酵素の新展開とLPLAT命名法提案
〔key word〕リゾリン脂質アシル転移酵素(LPLAT)、オメガ3脂肪酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)
・リン脂質スクランブラーゼによる脂質非対称性の変化と生理的な役割
〔key word〕脂質非対称性、リン脂質スクランブラーゼ、TMEM16F、XKR8
・膜を壊すーーオルガネラ膜消去のメカニズム
〔key word〕オルガネラ、PLAAT(phospholipase A/acyltransferase)、ATG15(autophagy-related 15)、オートファジー、水晶体
・膜を象るーー三次元光ー電子相関顕微鏡法によるオートファゴソームの形態解析
〔key word〕三次元光ー電子相関顕微鏡法(3D-CLEM)、アレイトモグラフィ、オートファジー、オートファゴソーム、
・膜をみるーー膜脂質プローブの開発
〔key word〕膜脂質、細胞内小器官、pleckstrin-homology(PH)ドメイン
・脳の脂質異常と神経変性疾患の関連
〔key word〕オルガネラ、脂質、コレステロールエステル(CE)、脳、アルツハイマー病(AD)
・リンパ腫におけるsPLA2による脂質修飾細胞外小胞の機能ーー悪性化における新規作動メカニズム
〔key word〕リンパ腫、脂質、細胞外小胞(EV)、分泌型ホスホリパーゼA2(sPLA2)、galectin binding protein
●TOPICS 神経精神医学
・高齢者は頭頂部の脳脊髄液腔が加齢に伴い狭くなる?--高齢者の認知機能低下に関連する加齢性脳形態変化
●TOPICS 公衆衛生
・ICT機器利用における健康障害とその予防
●連載 医療システムの質・効率・公正ーー医療経済学の新たな展開(19)
・医療におけるQOL測定の新たな展開
〔key word〕健康関連QOL、患者立脚型アウトカム、包括的尺度、疾患特異的尺度
●連載 遺伝カウンセリングーーその価値と今後(9)
・小児科領域における遺伝カウンセリング
〔key word〕保護者、患児、移行、診断、心理社会的支援
●FORUM 世界の食生活(8)
・サツマイモ
●FORUM 数理で理解する発がん(6)
・二項分布
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