電気けいれん療法とは何か?患者が経験すること治療技術有害事象と記憶の問題うつ病躁病運動障害ECTのその他の使用:精神病状態、妊娠、てんかん重積小児に対するECTECTはどのように作用するか?けいれん療法はどのように始まったか脳刺激法はECTにかわるものとなるか?ECTは倫理的な治療か?"なぜ私はこの本を改訂したのか?電気けいれん療法(electroconvulsive therapy:ECT)は重症の精神障害の患者に対する有効で安全な治療法である。しかし,この治療法が危険であると考える人は多く,精神障害が恐れられるようにECTも恐れられている。ECTは"精神医学で最も問題となる治療法"とよく言われる。この問題とは,その有効性や安全性についてではなく(これらはすでにその有用性が証明されている),ECTは脳に損傷を与え人柄や性格を変えてしまうという考えについてである。この間違った考えには多くのルーツがある。それらはECTが導入された当初にみられた痛みと合併症,インスリン昏睡療法やロボトミーという脳に侵襲が強く効果のない治療との混同(これらの2つの治療はECTと同じ時期に開発導入されたが,かなり前より中止されている),精神療法家との間での熾烈な思想上及び経済上の争いである。ECTは75年前に医療で使われて以来,大きな変化を遂げた。今日では,骨折が起こることも記憶が失われることもなく,映画で描かれていた恐怖の治療ではなくなっている。酸素化と筋弛緩薬を用いた麻酔法により,ECTはより安全になった。ECTのリスクは向精神薬を多剤併用するより低い。実際,高齢の患者,身体合併症を持つ患者,妊娠中の患者でも,ECTは他の精神科の治療よりも安全である。向精神薬と心理社会的支持療法は精神障害の患者への初期治療であるが,治療効果が不十分な場合がよくある。これらの
Honya Club.com