戦後文学史に不滅の輝きを放つ小説群―卓抜な読解に浮び上がる、豊饒な作家の"全体像"。『俘虜記』により作家として出発、ベストセラーとなった『武蔵野夫人』『野火』『花影』、完璧主義による壮大なレクイエム『レイテ戦記』。さらに『事件』、『堺港攘夷始末』まで―歴史の激流の中で誠実な歩みをつづけた小説家大岡昇平の"ながい旅"の軌跡を、透徹した作品分析によって描き出す。小説家の生誕俘虜の家の記録情熱恋愛の心理とその彼方深淵をさまよう敗兵政治の地平に近づいて(崩壊の叙事詩;ハムレット変奏)女たちをいとおしむ哀歌レイテ島の闘い、および闘いを超えて歴史が小説になるとき(先駆ける者の悲劇;空しい犠牲を悼んで)愛と裁判について『俘虜記』により作家として出発、ベストセラーとなった『武蔵野夫人』『野火』…。歴史の激流の中で誠実な歩みをつづけた小説家・大岡昇平の"ながい旅"の軌跡を、透徹した作品分析によって描き出す。
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