生誕100年。生涯にわたる日本文化研究と伝播の原点を、ドナルド・キーン賞特別賞受賞の著者が新たな視点で解き明かす渾身の力作。未発表含む自作25句も鑑賞。第1章 日本文学研究者への道(日本との出会い;『おくのほそ道』を歩く;『日本の文学』;『日本文学アンソロジー』)第2章 俳句の海外受容(イギリス・アメリカ・英語圏;フランス;ドイツ・ドイツ語圏;スペイン・スペイン語圏;ドナルドー・キーンとオクタビオ・パス)第3章 ドナルド・キーンの俳句観の深化(『日本文学の歴史』(全十八巻);『日本の俳句はなぜ世界文学なのか』;『日本文学の歴史 近代・現代篇』における俳句;桑原武夫の「第二芸術―現代俳句」について)第4章 日記文学(日記文学としての芭蕉『おくのほそ道』;正岡子規の日記)第5章 ドナルド・キーン俳句集キーン文学の原点に迫る キーン邸の玄関には、立像と座像の2体の芭蕉像が置かれているという。日本文学の研究と伝播に生涯を捧げたキーンは、昭和28年、31歳で念願の日本留学を果たした2年後、芭蕉の「奥の細道」を追体験、「紅毛奥の細道」を発表した。俳句はキーンが日本を知るうえでの重要な原点の1つだったともいえよう。 キーンが日本文学への関心を抱いたのは、ニューヨークの書店で売られていた、アーサー・ウェイリー英訳『源氏物語』を読んだことに始まる。そのウェイリー版からの逆翻訳を試み、ドナルド・キーン賞特別賞を受賞した著者が、キーンの原点を新たな視点で解き明かした渾身の力作が本書である。 キーン生誕100年。不思議な縁で結ばれた本書では、著者はまず「紅毛奥の細道」を辿り、キーンの心象風景を胸に刻むと同時に、その膨大な著作や海外への「ハイク」伝播を検証しながら、日本文学研究に重要な位置を占める俳句への道のり
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