本書は、18世紀フランスの言説空間において、富や市場の問題と統治形態や社会編成の問題とを含んだ「政治経済学」の思想的展開を、1760ー70年代における穀物取引論争をコンテクストとして論じる。第1章 「政治経済学」の言説空間としての穀物取引論争(穀物取引論争の概要;穀物取引論争の布置)第2章 経済的自由主義と専制政治―ケネーの「政治経済学」(ポリス批判と「自然な流れ」の擁護;合理的経済人の理念と新たな秩序観;経済的自由の享受と後見的権力)第3章 合法的専制の構想と世論の観念―ル・メルシエ・ド・ラ・リヴィエールの「政治経済学」(自然的秩序・明証性・合法的専制;マブリのフィジオクラット批判;合法的専制における世論の問題)第4章 「一般均衡」の発見と合理的経済主体の不在―チュルゴーとコンドルセの「政治経済学」(自由化と「一般均衡」の理論;理論から実践へ―リモージュでの「実験」;一七七四年の自由化立法;合理的経済主体の不在―説得から強制へ)第5章 世論と市場に対する為政者の技法と苦悩―ネッケルの「政治経済学」(世論―抗い難い事実;市場の理論と現実;介入主義、あるいは技法としての政治経済学;ふたたび、抗い難い世論について―その両義性)18世紀フランスの言説空間での「政治経済学」の思想的展開を、1760ー70年代における穀物取引論争をコンテクストとして論じる。〈受賞情報〉渋沢・クローデル賞ルイ・ヴィトンジャパン特別賞(第32回)
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