「テキサスアメリカの片田舎の州」と日本では思われています。しかし、経済規模は全米2位で、もし国家とすると世界10位の経済大国になります。 そのテキサスは、他州と同期しない孤立系統の電力システム、全米でもユニークな電力市場をもち、電力完全自由化、風力発電のシェア20%近くを成し遂げています。そして容量市場を持たないにも関わらず、安定供給を維持し、全米でも最も安いレベルの電力価格を維持しているのです。 この本ではこのテキサス州独自の電力システム、電力市場の詳細を紹介します。そして、容量市場、ベースロード市場を導入しようとしている今後の日本の電力市場と対比するとともに、問題提起を行っています。 【目次】 はじめに -自由化の先頭を切るテキサス州の魅力- 第1章 テキサスの電力情勢 -独立と自由化が生む低価格- 1.1 テキサス州の概要 1.2 テキサスの電力システムの特徴 1.3 資料で見るテキサスの電力情勢 第2章 テキサス州の再生可能エネルギー -風力断トツ1位と再エネ価値の適正評価 を生む秘訣- 2.1 全米No.1を誇る風力発電 2.2 分散型資源として伸びる太陽光発電 2.3 テキサス州都オースティン市が創造したソーラー価値 2.4 太陽光発電の価値は市場価格の2倍:2019年問題の考え方 第3章 ERCOTのエネルギーオンリーシステム 3.1 ERCOTの概要:テキサス電力システムの要となる市場・系統運営機関 3.2 ERCOT電力市場・システムの特徴:SCED、LMP 第4章 電力供給の基礎と市場取引プロセス -自由化後のシステム- 4.1 電気の特性と2大命題であるReliabilityとEconomy 4.2 地域独占時代の運用 4.3 自由化後の運用 4.4 まとめと日本の課題 第5章 ERCOTの市場プロセスと信頼度維持対策 5.1 ERCOTの市場取引のプロセス 5.2 信頼度維持手段①:予備力Reserveの確保 5.3 信頼度維持手段②:混雑対策(管理) 第6章 2018年夏に価格スパイク期待が外れた理由 6.1 Energy Only Marketの検証は持ち越し 6.2 Energy Only Marketで新規投資は回収できるのか -払拭されない容量不足への 懸念- 6.3 2018年夏、なぜ価格スパイクは発生しなかったのか 6.4 本章の最後に 終わりに -日本に容量市場・ベースロード市場は必要か- 参考文献 著者紹介
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