『康煕字典』の名は、漢字字典の最高権威として広く知られている。 300年以上も前に、中国・清の康煕帝の勅命で編纂された歴史的な字典にもかかわらず、今なお、コンピュータと漢字に関わる字義字形、異体字問題や、常用漢字、戸籍文字、印刷文字などの様々な議論や検討にもしばしば登場する。いったい『康煕字典』とはどういうものなのか。 本書は、『康煕字典』の構成や内容、 殿版・安永版・道光版などの諸版の歴史的成り立ちや、関わった人物などを判り易く紹介するとともに、『康煕字典』のいわゆる「首卷」に載る「序文」や「凡例」、安永版に附属する「琢屑(たくせつ)索引」に掲載される「補攷(ほこう)琢屑序」や「初學索引」の現代語訳を掲げ、その理解の一助とするものである。 『康煕字典』の見方が一目でわかるよう工夫された図版「図解『康煕字典』」付。 ■目次 概説編 Ⅰ はじめに Ⅱ 『康煕字典』とは Ⅲ 『康煕字典』の構成と見方 全体の構成/図解『康煕字典』/編纂に用いられた資料 Ⅳ 『康煕字典』の諸本 殿版/安永版/道光版/それ以降に刊行された『康煕字典』 Ⅴ 『康煕字典』周辺の人物と当時の日本 康煕帝/陳廷敬/張玉書/張玉書・陳廷敬の卒年と編纂の中心人物/都賀庭鐘/王引之/同時代の我が国のできごと Ⅵ 内府刊本『康煕字典』諸本の問題 殿版の諸本/道光版の諸本 現代語訳編 「翻刻序」訳/「御製序」訳/「上諭」訳/「凡例」訳/「補攷琢屑序」訳/「初學索引」訳
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