ヨーゼフ・T.デヴレーゼ/ヒード・ファンデン・ベルヘ 朝倉書店
シモン・ステヴィン(1548-1620)は現ベルギー出身の数学者、技術者、自然科学者である。科学革命に先行する時代を代表する人物の一人であり、その業績は時代を先がけ多岐にわたる。その多くがオランダ語でかかれたこともあり、国際的な知名度はいまひとつであるが、彼はガリレオに先んじて数学的自然科学を提唱した。ステヴィンは永久運動が不可能であるという原理から力の分解と合成の法則を語り、パスカルに先立って静水力学の逆理を導き出した。今日通貨や度量衡の単位には十進法が採用されているが、これをはじめて提唱したのも、そのために必要な十進小数とその計算規則を確立したのも、ひいては連続な実数という観念を予見したのもステヴィンである。そしてステヴィンは科学と技術を結びつけた。「シモン・ステヴィンのすばらしき世界」を知ることは、とりもなおさず今日の我々の社会を成り立たせているさまざまな「常識」の成り立ちを知ることにもつながるであろう。
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