本書では、身の回りであたりまえに見かける製品の内部で何がどんなふうに機能しているのかを、著者自らが作った模型をつかって楽しく説明し、機械にまつわる物語や歴史を語ります。とりあげられているのは、「錠と鍵」「時計」「はかり」「布作り」です。一見でたらめな選択にも思えますが、著者はこれらの技術はいずれも古代から発展しつづけ、現代文明と産業の土台を形作ったものだと言います。小さな種から芽生え、新しい技術という枝葉を広げ、大木になった4つのテーマがここにあります。南京錠やダイヤル錠は現代のデジタル暗号につながり、木製の糸車は大型で高速の紡績機へと発展しました。時を正確に測りたいという情熱は、セシウム原子時計を生み出します。著者は複雑で魅力的な機械を多数取り上げ、その仕組みや歴史的な背景を探求していきます。ニック・マンの見事な写真をふんだんに配し、セオドア・グレイ一流の洒脱なスタイルで語られる本書は、ものづくりをするすべての人、機械仕掛けを愛する人たちにとって必携の一冊です。
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