序に代えて 冷え冷えとした日本の夏(二〇〇四年)―朝鮮総聯、少子化、皇室の新しい危機、イラクの自衛隊、個と平等1 モラリスト風に2 保守主義とは何か3 靖國神社問題、「追悼・平和記念のための記念碑等施設の在り方を考える懇談会」(いわゆる「追悼懇」)をめぐって4 戦後日本をリードした進歩的知識人の正体5 日本がアメリカから見捨てられる日6 二十一世紀冒頭二十年間の日本の政治を考える追補1 対談 高市早苗vs西尾幹二 保守政権を考える追補2 西尾幹二は保守主義者か 『真贋の洞察』をよむ(岩田温)追補3 西尾幹二論―『国民の歴史』の思想史的位置(杉原志啓)「現代日本の政治と政治家」と題したこの一巻は、21世紀冒頭20年間の日本の政治を多角度からダイナミックに描いている。小泉純一郎首相の北朝鮮初訪問と拉致被害者一部の帰国に日本国内は騒然とするが、世界はニューヨーク同時多発テロからイラク戦争に向っていて、イスラム過激派のテロ行為をかつての「特攻隊」になぞらえる日本の保守派知識人の見当外れに対し、著者は保守の"軽薄な左翼帰り"と名づけて糾弾した。首相の非常かつ冷酷な郵政選挙に政治家の「自由」の行方、独裁的な危険を告知した。 性格の温順な安倍晋三首相に代わって、政局は安定したが、自らの政策の一丁目一番地と名づけていた憲法改正をいつまでも棚ざらしにし、国民は首相のやる気を疑いだし、言葉が多いのはいいが、次第に空疎な多弁が目立ち、度胸の無さが何よりもこの人の欠点だと気がついた。 「保守主義」とは何かが四方八方で問われだし、二大政党制は日本の政治に向かないと今の現実を見てあらためて疑われだしている。さりとて対決精神を持たない日本の政治家が、日本型全体主義を形成しつつあり、国際政治の修羅場に立たされた
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