1 ピック病をめぐるはなし(ピック病の歴史;神経病理学的所見による前頭側頭葉変性症の分類 ほか)2 前頭側頭葉変性症の臨床類型別事例集(意欲低下を中心とした事例;常同症を中心とした事例 ほか)3 鑑別診断(アルツハイマー型認知症と前頭側頭葉変性症の鑑別は可能か;ピック病と「ピック球を有しないピック病」の鑑別は可能か ほか)4 治療(原則;薬物治療 ほか)5 ピック病とその仲間たち―臨床の風景(ピック病の臨床と病理の報告(1918年ー1935年);前頭前野の障害でみられる症状群 ほか)"平成27年、指定難病として認定され、今注目を集める前頭側頭葉変性症についてまとめた著者入魂の1冊。本書ではピック病を含む前頭側頭葉変性症とその関連疾患について、多くの臨床類型別の事例を取り上げるととともに鑑別診断、治療までを解説。診断・治療からケアまで日常的な生活支援に役立ててほしい。<はじめに>より精神医学における疾患単位の概念は,カール・L・カールバウム(Karl L Kahlbaum)が導入し,エミール・クレペリン(Emil Kraepelin)が確立したものである11).身体疾患の場合,同一の原因,同一の症状,同一の経過と予後,同一の病理解剖学的所見をもつものを一つの疾患単位としたが,この基本概念は進行麻痺などの梅毒に基づくものである.当然のごとく認知症の分類もこの流れによっている.まず,アントワーヌ・L・ベイル(Antoine L Bayle)により進行麻痺が,次にオットー・ビンスワンガー(Otto Binswanger)らにより脳動脈硬化による認知症が分離された.アルツハイマー型認知症は,ほぼ20年ほど前まで,鑑別診断を行った結果,最後に残る疾患名として控えめに診断されていたが,画像検査や生化学的検査の進歩から,より優先して鑑別疾患となり,逆に,最後に残ったのは,非アルツハイマー
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