ヴォルテール、ディドロ、ルソー―本書ではこの三者を中心に、とくに彼らの啓蒙思想に焦点を当てて具体的に検証する。彼らはともに絶対王政下に生き、言論の不自由に苦しんだが、限られた発言の機会を巧みに利用しながら、専制君主批判、人権擁護を旗印に汎ヨーロッパ的啓蒙活動を展開していった。そして最も重要なことは、三者の言説が相互補完的に作用し合っていたことである。1 ヴォルテールにおけるシナと日本の幻影2 ディドロにおける政治思想の粗描―『百科全書』から「一七七二年の三部作」まで3 ディドロとエカテリーナ二世―十八世紀フランスにおける一つのロシア体験4 ディドロとラヂーシチェフ―エカテリーナ二世をめぐって5 ルソーと啓蒙思想6 ルソーにおける人間観と教育観―ディドロと比較して7 ある忘命貴族の目に映じたフランス革命―セナック・ド・メイヤン『レミグレ』の場合8 アレクサンダー・フォン・フンボルトとフランス啓蒙思想家9 書評・十八世紀を準備した思想家ピエール・ベールの人と思想18世紀の三大知識人の啓蒙思想活動を検証しそれぞれの特徴と三者の相互補完的連関を解明する! 名作『ラモーの甥』においてディドロは、18世紀フランス文学の大御所は誰かといえばヴォルテールだと、ある登場人物に4回も言わせている。わたし自身もフランスの啓蒙思想や文学を講義で取り上げる際、この世紀を代表する作家・思想家を1人だけ挙げるとすればヴォルテールだと口癖のように繰り返し述べてきた。18世紀はヴォルテールの時代と称されることもあるくらいなので、彼をこの時代の大御所と見るのは衆目の一致する見方であろう。ところが、ヴォルテールの次に誰が来るのかという話になると、専門家の意見も分かれてくるのではないだろうか。 三権分立の創唱で名高いモンテ
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