本書の目的は、近年の日本において人口高齢化に伴い社会的な関心が高まっている高齢者向けの介護サービスを研究対象として、主として地理的な観点からその需要と供給の実態について解明し、それらがサービスをめぐって形成する需給空間のあるべき姿について検討することである。第1部 高齢者福祉サービスへの地理学的アプローチ(高齢者福祉研究の展開;高齢者福祉サービスの地域差と地域的公正―措置制度期の広島県のデータから)第2部 高齢者福祉サービスと地域特性―大都市・中小都市・農山村(大都市における施設福祉の需給と市町村間関係―名古屋市の特別養護老人ホームの事例から;中小都市におけるサービス利用の地域的枠組みとその変化―広島県東広島圏域の事例から;農山村地域における介護保険と事業者間競合―奥能登・石川県穴水町の訪問介護の事例から)第3部 特別養護老人ホームの整備と施設利用(介護保険導入時における特別養護老人ホームの立地格差―全国の市町村別データから;施設整備と都道府県老人保健福祉計画の役割―広島県と山口県との比較から;特別養護老人ホームの立地と入所先選択をめぐる現実と理想的条件―岐阜県東濃圏域での家族アンケートから)高齢者向けの介護サービスを研究対象として、主として地理的な視点からその需要と供給の実態について解明し、それらがサービスをめぐって形成する需給空間のあるべき姿について検討する。
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