私たちが心ときめかせ、あるいは切望した科学技術。原爆から「平和の火」に変えられた原子力、そして原子力に暗雲がかかると、憧れの対象は月着陸のドラマとなり、あるいは先進の医療となった。第三世界の人々の夢も、そうした憧れに駆動された。しかしそれらの夢は、実は冷戦の時代、東西陣営による「世界の心を勝ち取る戦い」として科学が利用された結果と言ってよい。雑誌の表紙を飾る宇宙飛行士とその妻の表情や服装さえも「心を勝ち取る」ために演出された、文化冷戦の実態に鋭く迫る。第1部 文化冷戦と該・原子力(文化冷戦と原子科学者たち―「文化自由会議」と『原子科学者会報』;「フォーリン・アトムズ・フォー・ピース」と研究用原子炉の輸出;原子力の留学生たち―アルゴンヌ国際原子力科学技術学校;太平洋の核実験をめぐる逆説の対外情報プログラム)第2部 新たな対外情報プログラムの展開(「アトムズ・フォー・ピース」から「サイエンス・フォー・ピース」へ;「ホープ計画」に見る医療援助政策;新たな対外情報プログラムとしての宇宙開発)私たちが心ときめかせ,あるいは切望した科学技術。原爆から「平和の火」に変えられた原子力,そして原子力に暗雲がかかると,憧れの対象は月着陸のドラマとなり,あるいは先進の医療となった。第三世界の人々の夢も,そうした憧れに駆動された。しかしそれらの夢は,実は冷戦の時代,東西陣営による「世界の心を勝ち取る戦い」として科学が利用された結果と言ってよい。雑誌の表紙を飾る,宇宙飛行士とその妻の表情や服装さえも「心を勝ち取る」ために演出された,文化冷戦の実態に鋭く迫る。
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