平安朝漢文学という大海より、釣り上げられた問題を5つの主題の下に配し、"平安朝漢文学と白詩圏の文学""平安朝漢文学と中・晩唐文学""詩と歌の交感""菅原道真の文学活動""幼学の世界と平安朝漢文学"。作品解読も含めその展開と面白さを追究した。1 平安朝漢文学と白詩圏の文学(紀長谷雄の「山家秋歌」をめぐって―白詩享受の一端;嶋田忠臣と白詩;平安朝文人と『白氏文集』―どう向きあい、どう用いたか;平安朝における「劉白唱和集解」の享受をめぐって―文人たちの作品と『仲文章』)2 平安朝漢文学と中・晩唐文学(中国晩唐期の唐代詩受容と平安中期の佳句選―顧陶撰『唐詩類選』と『千載佳句』『和漢朗詠集』;菅原道真の「端午日賦艾人」詩と唐人陳章の「艾人賦」―平安朝における唐代律賦受容の一端)3 詩と歌の交感(『文華秀麗集』『経国集』の「雑詠」部についての覚書―その位置づけと作品の配列をめぐって;嶋田忠臣と在原業平―漢詩が和歌を意識し始めた頃;漢詩文と『古今集』―万葉から古今に至る"香"の世界の展開と漢詩文;"香"と視覚―『古今集』前夜における詩と歌の交感)4 菅原道真の文学活動(『菅家文草』―その成立・伝来など;「行春詞」札記―讃岐守菅原道真の国内巡視;菅原道真「讃州客中詩」の形成と「詩人無用」論;「舟行五事」札記)5 幼学の世界と平安朝漢文学(下層官吏層の"学文"と文学活動―その実態と展開について;『仲文章』に関する二・三の考察―『和漢朗詠註抄』所引『代讃章』佚文との関連から;教訓書『仲文章』の世界―平安朝漢学の底流;『童子教』の成立と『三教指帰』;『口遊』所引の中国の占雨踊句と大江匡衡の賀雨詩序の「東方朔之前言」)平安朝漢文学は、中・晩唐期の幅広い中国文学を吸収した上で高度な仮名文学と併存すると
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