愛とは何かという根本の問いを持ちつつ、古典文学作品のなかに、現代の私たちとつながる「日本人の愛」をみきわめようとする、四十章からなる名編。〈他者との合一〉を念じた主人公をたどる愛の精神史。〈目次〉愛について──はじめに── 1禁忌をおかす恋──古事記争乱と女の一生──万葉集(一)民衆の恋さまざま──万葉集(二)花のいのち──古今集愛の切なさ──伊勢物語恋と音楽──宇津保物語恩讐の彼方の世界──落窪物語愛憎の生──かげろふの日記惑情の生──和泉式部日記幻想の女・夕顔──源氏物語(一)浮舟をめぐる二つの愛──源氏物語(二)才女の孤独と情愛──枕草子時雨の夜の出来事──更級日記一夜の契り──浜松中納言物語聖女への思慕──狭衣物語死を悲しまない愛──讃岐典侍日記虚無の世俗──今昔物語虚の性をとおして──とりかへばや物語心の闇──夜の寝覚 2歴史の暗部に──平家物語死者から見た愛──建礼門院右京大夫集相愛図の告白──とはずがたり凌辱にさらされる愛──増鏡情念の肯定──徒然草魂としての愛──謡曲人生劇の愛──狂言夢の世の情──閑吟集 3愛のやさしさと残酷さ──お伽草子当世ふうの愛──仮名草子愛欲の悲劇──好色五人女愛のエロス──曾根崎心中力学の中の愛──心中天網島風狂と愛──芭蕉鬼となる愛欲──雨月物語直情の性愛──一茶天然の愛──良寛玉として流転する愛──南総里見八犬伝世俗の人情──春色梅児誉美後記
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