東京の「今」に、落語の「昔」を見つけようと始めた散歩は、思いもかけず江戸のかけらを見つけた喜びと、すっかり変わった街への驚きとが、ないまぜになった。寄席では感じなかった、新たな発見。1 春の落語をのたくる(「花見の仇討」東京・上野;「百川」東京・日本橋 ほか)2 夏の落語をのたくる(「唐茄子屋政談」東京・浅草;「真景累ヶ淵ー豊志賀の死」東京・根津、千駄木 ほか)3 秋の落語をのたくる(「三方一両損」東京・神田;「野ざらし」東京・向島 ほか)4 冬の落語をのたくる(「四段目」東京・泉岳寺;「明烏」東京・三ノ輪 ほか)本書は、春風亭一之輔さんと落語の舞台を「のたくった」覚え書きみたいなものです。一之輔さんと一緒に落語の舞台を散歩している気分が春夏秋冬ごとに味わえる1冊になっています。江戸も明治も遠くなりましたが、実は東京の街を歩いてみると、落語の江戸をしのぶよすがは、そこここに残っています。日本橋や上野、浅草といったおなじみのスポットも、落語を重ねてみると、堆積した地層の深いところから、これまで気づかなかった表情が顔を出します。お手軽なタイムスリップ、と言えるかもしれません。読後には、江戸っ子の心意気があなたをやさしく癒してくれるでしょう。
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