ヤマトタケルノミコト(『古事記』)、オスカル(『ベルサイユのばら』)、娘(『道成寺』)、ポーシャ(『ヴェニスの商人』)…。古今東西を問わず、演劇や文学、映画、アニメ、漫画に数限りなく登場してきた「女装する男」と「男装する女」。彼/彼女たちは、なぜ性の境界を超えようとしたのか?"変態""異常""倒錯"という言葉で片付けてしまうだけでは気がつかない、性と愛の現実がそこにある。「男と女」という単純な二項対立がsexとgenderの視点をからめると無限の性別へと変化していくさまをつぶさに論じ、人間の生の多様性に軽やかに迫る。第1部 男から女へ―エロスと暴力とユーモアと("オヤジ殺し"の手段―ヤマトタケルノミコト/『古事記』;流動するセクシュアリティ―弁天小僧/『青砥稿花紅彩画』;演劇的幻惑―お嬢吉三/『三人吉三巴白浪』 ほか)第2部 女から男へ―戦いと自己実現と恋と("戦う女"になるために―サファイア/『リボンの騎士』;自己実現の誇り―オスカル/『ベルサイユのばら』;親孝行な「父の娘」―ムーラン/『ムーラン』 ほか)第3部 双方向の越境―ジェンダーの呪縛を超えて(古代の"性同一性障害"―"姫君"と"若君"/『とりかへばや物語』;性と生の可能性を求めて―オーランドー/『オーランドー』)古今東西の様々なメディアに現れてきた異性装は、多様化を極める性の現実の象徴だ。古事記からジャニーズ、シェイクスピアまで縦横無尽に分析。無限の性別へと変化していくさまを論じ、人間の生の多様性に迫る。
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