本書は人類に共通する基層の精神文化を探ることで、その表層として現れたドラキュラの「テクスト」を解明しようとするものである。したがって学問的なシェーマ(図式)や方法論を問題とするものではなく、様々な論理を手がかりにドラキュラの真の姿をどこまで解明できるかが課題となる。当然、多くの学問的領域を自由に行き来する学際的な試みとなり、論理の飛翔/飛躍を恐れない知/痴/血の冒険となるだろう。第1章 ドラキュラ胎動編―テクスト生成の歴史的考察、あるいは、不死者ドラキュラはいかにしてこの世に誕生してきたか。(ドラキュラ生誕100周年、ブラム・ストーカー生誕150周年を祝って;「魔女」の誘惑、あるいは、トリニティーの大地母神は「吸血鬼」となるか;「ドラキュラ」の覚醒、あるいは、ストーカーと教授の運命的な出会い ほか)第2章 ドラキュラ退魔編―ドラキュラは何故滅ぼされるのか(「ドラキュラは何故、十字架に弱いのか」、あるいは、十字架=蛇論;「ドラキュラは何故、鏡に映らないのか」、あるいは、象徴化の戦略;「ドラキュラは何故、ニンニクが嫌いなのか」、あるいは、鹿とヒルの論理 ほか)第3章 ドラキュラ解体編―新たなるドラキュラ論に向けて、あるいは、パイプ・ドリーム(おおいなる物語としてのドラキュラ;物語、あるいは、鬼・語りの構図;モノ・カタリ・タマの解釈学 ほか)
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