いわゆる法曹三者において、裁判官はとりわけ"奇異"な存在である。「司法囚人」とたとえられるような処遇と、強大な権限。裁判所や判事への批判は、その両極端な面を反映するものが多い。では、実際の裁判所はどのような組織か。裁判官たちは、何を考えて裁いているか。「法と証拠」ではなく、組織としての圧力で判決が決まることはあるのか。死刑判決のプレッシャーはいかばかりか―。本書は、著者の裁判官時代のエピソードを交えながら、日本の司法制度の瑕疵と司法組織の歪みや問題を整理。さらに、有名な裁判の舞台裏や、驚きの判決理由を解説する。序章 カフカ『審判』の不思議な真実第1章 第三権力のスキャンダラスな実相―ザンネンな裁判所の人と組織第2章 「司法囚人」の実態―裁判官は司法権力の囚われ人第3章 裁判所の犯罪―「冤罪でも死刑!」の精神構造第4章 日和見の権力―政界汚職事件ではいつも腰砕け第5章 「人質司法」の姑息―罪を認めない限り身柄を拘束第6章 ごまかしの司法判断―不公正な裁判の法理、崩れゆく人権の砦第7章 苦悩する法の番人たち―ニッポン名(迷?)裁判官列伝終章 司法権力をこの手に取り戻すために日本の司法はなぜ理不尽か。制度・組織・裁判官資質、仰天の判決理由など、元判事が問題点を整理、解説。日本型司法の実相にメスを入れ、その元凶「裁判所パノプティコン」の正体に迫る。
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