『グリム童話集』に匹敵する民話集をという熱意から、カルヴィーノ(一九二三‐八五)は他の作家活動の一切をなげうち、膨大な資料をあさり異校をつき合わせて、イタリア全土から典型的な民話二百篇を選んで世に問うた。その中から、さらに七五篇をえりすぐって、(上)を北イタリア編、(下)を南イタリア編と二冊に分けて収める。(上)の巻末にカルヴィーノの民話論を付す。恐いものなしのジョヴァンニン(北イタリア全域)緑の藻の男(リグーリア西海岸)何ごとも金しだい(ジェーノヴァ)水蛇(モンフェッラート丘陵地帯)鸚鵡(モンフェッラート丘陵地帯)クリックとクロック(モンフェッラート丘陵地帯)カナリア王子(トリーノ)強情者だよ、ビエッラの人は(ビエッラ近郊)花薄荷の鉢(ミラーノ)星占いの農夫(マントヴァ)聖ジュゼッペの信者(ヴェローナ)蟹の王子さま(ヴェネツィア)まっぷたつの男の子(ヴェネツィア)満ち足りた男のシャツ(フリウーリ地方)怠けの枝(トリエステ)ベッラ・フロンテ(イストリア半島)無花果を食べあきなかった王女(ロマーニャ地方)傴僂のタバニーノ(ボローニャ)塩みたいに好き(ボローニャ)七頭の竜(ピストイアのモンターレ)眠れる女王(ピストイアのモンターレ)ミラーノ商人の息子(ピストイアのモンターレ)魔法の宮殿(ピストイアのモンターレ)フィレンツェの男(ピーサ)弾む小人(ピーサ)乳しぼりの女王(リヴォルノ)カンプリアーノの物語(ルッカ近郊)魔女の首(アルノ川上流域)林檎娘(フィレンツェ)プレッツェモリーナ(フィレンツェ)篭のなかの王さま(フィレンツェ)地獄に堕ちた女王の館(シエーナ)十四郎(マルケ)地方「グリム童話集」に匹敵する民話集をという熱意から、カルヴィーノは他の作家活動の一切をなげうち、イタリア全
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