シューベルトが1820年に作曲した劇音楽『魔法の竪琴』。意欲作ではあったものの、初演時に聴衆や批評家から酷評され、現在では『ロザムンデ』に転用された序曲が知られるのみ。全曲が演奏されることはほとんどありません。その理由の一つには「作品全体が当時流行していた『魔法劇』のレベルをはるかに超えているため」と指揮者ミヒャエル・レスキーはブックレットの中で語っています。彼は更に「`回文`と題された不思議な曲の挿入、緊張を高めるためのメロドラマの多用、そして核となる`円卓の騎士`たちの物語。数多くの要素が盛り込まれており、シューベルトの完全な自筆譜も残っていないため、その全貌を理解するのは容易なことではありません。」と続けています。そこで今回、レスキーが演奏したのは、イギリス出身の音楽学者でシューベルト研究家のブライアン・ニューボールドによる「オーケストラ組曲版」。ニューボールドは必ずしも劇の展開に沿うことはなく、音楽的な視点から、まとまりがありかつ変化に富んだ物語として再構築。シューベルトの音楽のみを味わえる洗練された作品へと仕上げています。 (C)RS
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