先住の山人や漂泊する民、定住する農耕民の文字に残されてこなかった伝承や伝説、生活に密着した心意や信仰の世界を掘り起こし、名もなき人々の生き生きした歴史と文化に光を当てた柳田国男。だが、氏が逝って50年。私たちの社会は高度に発達し、伝統的な制度や価値観は崩壊して、柳田の学問、民俗学を生み出した時代から遠い極北にまで歩みいたったかに見える。戦前から戦後の時代の曲り角で、柳田は幾度も見直されてきたが、私たちの時代は今、柳田国男とその学問を、過去のものとするのだろうか?その今日的課題を問う。
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