現代に生きるわたしたちは、ひとそれぞれの主観的な感覚や考えを持つ自由と引き替えに、共有する絶対的な真理を失い、猜疑と孤独に陥るしかないのか。カントは、人間の考える力を極限まで吟味し、絶対的な真理は知り得ないという「理性の限界」を証明した上で、人間に共通する〈普遍性〉を、「わたし」の主観の中に見出した。この「アンチノミー」「超越論的哲学」という方法に注目し、デカルトからアーレントまでの「主観」理解と照らしつつ、『純粋理性批判』をはじめ三批判書を、平易に読み解く。若き俊英が、等身大の「わたし」から説きおこす清新なカント入門。
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