欧州各国で、俄に安楽死合法化の気運が高まりつつある。安らかに逝くーその柔らかな響きに、欧州在住の筆者は当初懐疑的だった。スイスの安楽死団体でその「瞬間」に立ち会い、アメリカやオランダで医師や遺族を取材する中で、死に対する考えを深めていく。文庫解説で武田砂鉄氏はこう書く。“本書から繰り返し聞こえてくる著者の吐息は、安心感なのか戸惑いなのか疲弊なのか、読者はもちろん、それは著者自身にも分からないのではないか。死にゆく様を見届けた揺らぎが、そのまま読者に届く”。読後、あなたは自らに問うはずだ。私はどう死にたいのか、と。
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