・近年、オキシトシンは下垂体後葉だけでなく脳内の他の部位でも分泌されることが判明し、分泌されたオキシトシンは扁桃体や大脳皮質などにおいて作用し、抗ストレス作用、摂食抑制作用などを示すことが明らかになった。
・オキシトシンをヒトに経鼻投与する実験により金銭取引で相手との信頼関係を高めることがわかり、精神科領域においては、自閉スペクトラム症(ASD)の社会行動障害を改善する効果が期待されている。
・本特集では、オキシトシンの神経機能解剖学、抗炎症作用、精神科領域(統合失調症、ASD、知的・発達障害、高齢者など)での向精神作用や課題に関して、各分野での第一人者にそれぞれの研究を紹介していただく。
■オキシトシンの向精神作用と精神疾患治療応用への展望
・はじめに
・オキシトシンの神経機能解剖学
〔key word〕オキシトシン、室傍核(PVN)、視索上核(SON)、オキシトシン受容体
・ミクログリアにおけるオキシトシンの病態的役割
〔key word〕オキシトシン、ミクログリア、精神疾患
・統合失調症とオキシトシン作動性システム障害
〔key word〕統合失調症、治療抵抗性統合失調症、社会認知機能障害、オキシトシン
・オキシトシン経鼻投与の応用による自閉スペクトラム症中核症状治療薬の開発
〔key word〕オキシトシン(OXT)、自閉スペクトラム症(ASD)、社会行動、神経ペプチド、発達障害
・信頼におけるオキシトシンの役割
〔key word〕オキシトシン、信頼、一般的信頼、信頼ゲーム、MRI
・行動障害を伴う知的・発達障害児(者)とオキシトシン
〔key word〕チャレンジング行動、強度行動障害、知的障害、自閉スペクトラム症(ASD)、オキシトシン
・高齢者の精神的健康を維持するためにーーオキシトシンに着目して
〔key word〕オキシトシン(OXT)、認知症、頭部MRI検査、社会的孤立
●TOPICS 皮膚科学
・顧みられない熱帯病:ブルーリ潰瘍
●TOPICS 生化学・分子生物学
・ミトコンドリアから細胞核への逆行性シグナルによるエンハンサーリモデリング
●連載 医療システムの質・効率・公正ーー医療経済学の新たな展開(4)
・地域医療計画・地域包括ケアシステムとその将来
〔key word〕地域医療計画、地域医療構想、外来医療計画、地域包括ケアシステム、医療介護複合体
●FORUM 後悔しない医学英語論文の投稿に向けてーーEditorの視点から(1)
・論文投稿に際してのパラダイムシフト1
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