ドイツの基礎学校における「政治・社会学習」は、民主社会を担いうる市民の育成をめざし、統合的・基幹的教科である「事実教授」の一環として行われている。その範囲は社会認識の形成に関わる全てにわたり、きわめて広い。常にわが国の対応教科である社会科、総合的な学習、道徳等を視野に、1970年代以来多くの改革を重ねてきたこれら教科目の歴史・理論・具体的実践の全容を紹介・考察した本書は、上記のわが国諸教科が、いずれも様々な批判の下動揺している折柄、それらの再定置に有効な示唆をもたらす、時宜に適った労作である。
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