本書で試みた新たな用排水システムを構築する方法論“都市水代謝デザイン”は資源制約・閉鎖循環型計画思想に基づき、夫々の都市域の保有する歴史、風土、自然環境、都市環境など、多くの要素を勘案しながらつくられた図式による水循環のマスタープランを提示する。そこでは具体的な“形”は示されず、新たな用排水システム構築のプロセスとシステムフローが提案される。その定量的検討は、計画対象都市域の水代謝構造の把握をなす動的な給水負荷算定モデルと多様な都市水政策の導入効果を測定しうる計画支援モデルの運用により行われる。後者は都市政策モデルとリンクすることにより、都市・地域計画に対して主として水利用と水環境の面から規模の抑制などコントロールをなしうるフィードバックループを持ち、持続可能で安定的な水循環を実現する用排水システムを探索するものである。
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