20世紀末の現在、日本の農業・農村は多くの解決すべき問題を抱えており、昨年新たに食料・農業・農村基本法が制定されたところである。その中でも、旧基本法では触れられていなかった自然環境の保全など、農業の持つ多面的機能の重視、環境保全型農業の推進、基盤整備における環境との調和への配慮などが盛り込まれた。この具体化にあたっては農業生産の場を維持改善するとともに、その自然性をも保全するという困難な問題の解決が求められており、農村ビオトープの保全・復元・管理に関する研究的・技術的・運動論的解明が急務となっている。この解明にあたっては関係する専門分野も多く、特に生物・生態学・農学・農村工学と言ったこれまで交流の少なかった各分野の協力が求められている。本書はこれら専門家の協力によって作られた農村ビオトープに関する最初の書である。
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