第二次大戦後に社会研究所を再建し、フランクフルト学派を形成したホルクハイマーとアドルノは、急速に西欧(アメリカ)化していく西ドイツ社会において、『啓蒙の弁証法』の「野蛮/啓蒙」図式とは異なる位相の問題に直面し、「真理政治」の戦略を組み替えることを余儀なくされた。彼らは、管理社会化していく西ドイツの状況をどのように捉え、その中でどのような理論的実践を試みたのか?戦後の彼らの主要著作とそれに対する公共圏での反応、大学でのゼミやシンポジウムの記録、哲学会の内部資料、書簡など、多様な資料を駆使しながら、フランクフルト学派第一世代の真理政治の全体像を再構成し、「批判理論」の意味を問い直す。
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