時は十八世紀半ば。あるインド植民者の邸宅で、親をなくした子どものサイが飼われていた。サイの名は“クララ”。オレンジとビールとタバコを愛する人なつっこいこのメスのサイを見て、オランダ人船長の脳裏にひとつの名案がひらめく。「こいつを見世物にして、ひと儲けしてやろう!」とはいえサイは、当時のヨーロッパでも知る者がほとんどいない“幻の獣”。体重三トンにまで成長したクララをいったいどう運んで、どう生かせばいいのか!?船長は、三トンの頭痛をかかえることに…。ライデン、ベルリン、ウィーン、ナポリ、パリ、ロンドン…飼い主の執念と愛情よろしく、クララはヨーロッパのほぼ全域を二十年近くかけて巡業し、有名無名の見物人に囲まれて、行く先々でちょっとしたブームをまきおこす-茶目っ気たっぷりの歴史トリビア・ノンフィクション。
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