元禄十四年初夏、犬侍・千日前伊十郎と相棒の白い柴犬を乗せ、蓬莱丸は播州赤穂に向け出航した。生類憐みの令のもと、犬を従える犬侍は最強の用心棒だ。塩受け取りのため、刃傷事件で騒然とする赤穂藩に先乗りした蓬莱丸の炊・権左と伊十郎は、筆頭家老・大石内蔵助から、赤穂藩改易は犬公方・綱吉を操る犬侍の仕業だと聞かされる。塩受け渡しの当日、塩田の浜に甲斐犬を使う犬侍・黒虎毛が立ち塞がる。身構える柴犬シロ。得意の石つぶてを握りしめる権左。ついに、伊十郎の龍王剣音無しの秘太刀が虚空に舞う。超大型新人、いよいよ書き下ろし時代小説に参戦!
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