1 シェアする社会が意味すること(FOR READERS もうかるシェアビジネスから、分かち合うシェア社会を目指して;つながりを生み出す社会へシェアコミュニティのすすめ;シェアリングエコノミーと互酬の世界の仕組み;シェアリングエコノミーのオルタナティブな可能性;「地域と市民の復権」という視点から新たな経済を考える)2 0円生活の楽しみ方あれやこれや(服への「思い」を添えて交換する;地域の人たちと楽しくゴミを減らす;子どものオモチャ交換会がかえる世界;自慢の庭で広がる地域を越えた出会い;地域通貨がつくり出すお金に頼らない豊かさ ほか)広がるシェアビジネス 「シェア」という言葉の本来の意味は「共用、分配」だ。だから「シェア経済」によって、人びとがモノや技能を「分かち合う社会」が到来すると期待された。ところが現実に広がったのは、インターネットを使ってモノやサービスの仲介するニュービジネスだった。特に有名なのが、民泊を仲介する「エアビーアンドビー(Airbnb)」と、一般人が自家用車を使って他人を運ぶ「ウーバー(Uber)」だ。 両社がアメリカのサンフランシスコで設立されたのはわずか10年前。スマートフォンで近くの車を呼んだり、民泊の予約が簡単にできることから、またたく間に世界中に広がった。利用者にとっては「便利で安い」というメリットがある上、「共同で利用する」と聞くとエコな感じもする。ウーバーは世界70カ国で展開し、売上高75億ドル。エアビーアンドビーは192カ国、売上高26億ドルにのぼる。タクシー運転手の嘆き でも、こうしたビジネスが「分かち合いの社会」をつくる可能性はあるのだろうか。 筆者が、昨年秋にニューヨークの協同組合を視察に行った時のこと。空港で乗ったタクシー運転手に、ウーバーの影響につい
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