本書は「大東亜戦争」を、日本史や日米関係史の視座、あるいはアメリカ政府の視座である「太平洋史観」から解放し、さらには戦前の日本が戦争の肯定を試みた「大東亜戦争史観」からも解放して、国際史の視点から再検討する試みである。日本史、米国史、英国史、中国史、ドイツ史、ソ連史、フランス史、インテリジェンス研究などの第一人者の論考を収録する。例えば中西寛氏は1890年を20世紀の起点に置く歴史観を提唱し、大木毅氏は当初日本よりも中国との関係を重視していたドイツが日本と手を結んだ経緯を綴る。重層的な視点から「複合戦争」の全体像を俯瞰する。グローバルな視点を持たなければ、先の大戦の本質を見誤る。各分野の第一人者による15編。「先の大戦」を総括する新しい歴史的視座(細谷雄一)二十世紀史のなかの第二次世界大戦と日本(中西寛)中国と英国の秩序を超えようとした日本(松浦正孝)避決定を貫徹できなかった日本(森山優)ローズヴェルトの世界戦略と遺産(村田晃嗣)イギリスのなかの親日派と抗日派(アントニー・ベスト)蒋介石の外交戦略と中国共産党史観―「外交は無形の戦争論」の再評価(家近亮子)ドイツの「転換」と三国同盟への道(大木毅)スターリンの対日戦略、軍事大国の陥穽(花田智之)ド・ゴールと第二次世界大戦―植民地帝国における戦後フランスの礎の構築(宮下雄一郎)大日本帝国崩壊後も続く東アジアの激動(加藤聖文)インテリジェンス比較―縦割りの日本、情報集約の英国(小谷賢)帝国の喪失がもたらした民主主義(リチャード・オヴァリー)ヨーロッパにおけるファシズムの浸透と競合(板橋拓己)知識人たちの闘い―国際秩序の変動と国際協調という問い(森田吉彦)「ドイツはチェコ支援阻止のために日本と手を結んだ」「15年戦争史観から51年戦争史
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