恋の深淵、人生の別れなどを繊細に美しく描く古典は、日本女性の宝物です。夫の裏切りを憎みながらも、「椿の花のようにいとしい夫よ」とうたわずにはいられなかった『古事記』の磐姫。風光る5月のようにさわやかな清少納言。夢を抱きながら、平凡な主婦の座に生きた更級の女などの物語を10篇紹介。第1章 春―花ざかりの季(『古事記』の磐姫皇后―真紅の椿のいのちの恋;『伊勢物語』―青春への郷愁をこめた恋のメモワール;『枕草子』の清少納言―光る感性につながれた主従の愛)第2章 夏―燃える夏のきらめき(『和泉式部日記』―噂の女が抱きしめる孤独な魂;『源氏物語』の空蝉―拒むことによって恋を昇華させた女)第3章 秋―白い秋風に寄せて(『雨月物語』浅茅が宿―亡霊となっても待ちつづけた女;『更級日記』―夢を封じこめた可憐な女の自分史;『平家物語』木曾の最期の事―死の絆に結ばれた乳きょうだい)第4章 冬―冬空と星と雪と(『建礼門院右京大夫集』―縹色の空の星は恋人;『源氏物語』宇治十帖の世界―ふたつの愛の波間に漂う浮舟)
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