本巻は、天正11年から天正14年までの四年間の関係史料を収めた。本巻の大きな特色は、天正14年7月のいわゆる岩屋城合戦とそれに至る政治過程に関する諸史料がおおむね集成されていることである。閏正月7日 村山種英、太宰府横岳崇福寺に窪田一町を去渡す、2月8日 肥前国養父郡勝尾城督筑紫広門鎮恒、筑前国御笠郡岩屋城に火を放ちて之を攻む、守将屋山中務少輔克く拒ぐ、同国宝満・岩屋城督高橋紹運鎮種援兵を出して広門を郤く、3月1日 肥前国養父郡勝尾城督筑紫広門鎮恒、大宰府の近邑を掠む、戸次道雪鑑連・高橋紹運鎮種、撃ちて之を走らす、4月16日 是より先、筑前国怡土郡高祖城督原田隆種了栄の弟親秀、同国那珂郡久辺野に砦を築く、是日、同国糟屋郡立花城督戸次道雪鑑連、其子統虎立花宗茂と共に攻めて之を抜く、23日 是より先、筑前国糟屋郡立花城督戸次道雪鑑連・其子統虎立花宗茂及び同国宝満・岩屋城督高橋紹運鎮種等、同国宗像郡宗像大宮司宗像氏貞と戦ひて之を破る、是日、復氏貞を同国宗像郡許斐城に攻めて之を抜く、5月10日 合志宣頓親為、大鳥居信寛に書を贈り、肥後国の情勢及び大宰府天満宮領同国合志郡富納村の事等を報ず、9月2日 大友義統、大鳥居信寛の忠貞を賞す、10月3日 筑前国秋月種実、同国宝満・岩屋城督高橋紹運鎮種の属城同国米山を攻陥す、紹運、急を聞き直に赴きて之を奪還す、12月20日 大友義統、簗瀬三河入道の高橋紹運鎮種に従ひて筑前国宝満城に籠城せる功を賞し、筑後国三井郡の地を与ふ、是歳 戸次道雪鑑連・高橋紹運鎮種、屡々使者を遣して秋月種実に合体を勧む、〔ほか〕
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