「スティーブは、十日に一度は真夜中までうちにいたわ」と、乙川弘文の元妻は語った。スティーブ・ジョブズが師と仰ぎ、アップル社の思想に禅境の閃きを与えた僧侶・弘文。だが、彼は"禅道無宿"、自ら願って地獄に堕ちた。高僧か?破戒僧か?そして不可解な死―。欧、米、日、夥しい関係者の証言からその死の謎に迫る渾身のノンフィクション。第六十九回日本エッセイスト・クラブ賞受賞作。プロローグ第1章 激賞と酷評と第2章 生い立ちから渡米まで第3章 アメリカで、ジョブズと出逢う第4章 追うジョブズ、追われる弘文第5章 ジョブズと離れヨーロッパへ第6章 最後の日々第7章 乙川弘文の地獄と手放しの禅エピローグ日本エッセイスト・クラブ賞(第69回)受賞!「ハングリーであれ、愚直であれ」(スティーブ・ジョブズ)──この言葉は禅の教えだった!スティーブ・ジョブズの「生涯の師」で、i Phoneやi Podなどの革新的製品の設計思想にヒントを与えた日本人僧侶・乙川弘文。足かけ8年、関係者への徹底的な取材の中で浮かびあがってくる、ジョブズとの魂の交流。僧侶としての苦悩。「日本曹洞宗の明日を担う」とまで期待された若き僧侶は、なぜ故郷を捨て、アメリカに渡ったのか?ある人は「あんなに優れた禅僧はいない」と激賞するが、「女にだらしない、酒浸りの男だった」と批判する人もいる。──彼はいったい何者だったのか?そして、スイス山奥での突然の死。その真相は?一橋大学名誉教授・中谷巌氏絶賛!【乙川弘文・略年譜】1938年 新潟県加茂市「定光寺」の三男として生まれる。1951年 得度。1956年 駒澤大学仏教学部に入学。1960年 京都大学大学院に。1965年 永平寺に上山、修行僧となる。1966年 永平寺の特別僧堂生に抜擢。1967年 渡米し、カリフォルニア州「タサハラ禅マウンテンセンター」
Honya Club.com