東南アジアの21世紀を「境を越えた」ところから見つめなおす。「多極化されたグローバル社会」を理論的にとらえる場として、タイ・ラオス・カンボジアは恰好のフィールドである。第1部 タイにおける開発と市民社会、ジャパナイゼーション(グローバル化の中でのタイ社会の変動と文化変容―市民社会化とジャパナイゼーションの視点から;タイにおける市民社会化の流れと社会開発 ほか)第2部 ラオス―グローバル化の渦中で(ラオスの大学と琉球大学との教育・医療における協力ネットワークの形成;ラオスと沖縄、附属小学校を拠点にした教育開発協力を展望して―教育学部の役割と附属学校の使命 ほか)第3部 カンボジア―境を越える(カンボジア華人のエスニシティ―一九九六年から二〇一〇年までの変化を中心に;カンボジアの土器作り―民族考古学的調査の覚書)第4部 琉球とシャム(琉球とパタニ―琉球との交流から女王の支配時期まで)東南アジアの21世紀を「境を越えた」ところから見つめなおす!「多極化されたグローバル社会」を理論的にとらえる場として日本、中華世界、西洋とたえまなく接触しているタイ・ラオス・カンボジアはまさに恰好のフィールドである。「本書のキーワードである「越境」には、地域や学問分野などの比較・対照の視点とヒト、モノ、カネ、情報、文化の多極化された「グローバリゼーション」における「越境」の意味が込められている。学問分野としての地域研究においても、一つの地域に閉じこもるようなアプローチではかえって「地域」というものをとらえることができなくなってしまう。だからといって、単に多様性のみ提示するような資料主義やそれぞれの学問分野の枠組みだけに居直るのではなく、そこには分野や地域を越えた学際的・脱地域的な理論化が必要であった。」
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