動員された兵士、貧しい農民、民衆の哀しさを、抑制された文体と素朴なユーモア、見事な構成により短篇小説、随筆にまとめた作家・黒島伝治(1898‐1943)。「渦巻ける烏の群」「橇」をはじめとする作品は、異国への越境を強要され、シベリアの大地を這う兵士達の抵抗の叫びから成る戦争文学の名作である。作品18篇を精選。小説(電報;老夫婦;二銭銅貨;豚群;橇 ほか)随想(小豆島;戦争について;入営前後;自画像;入営する青年たちは何をなすべきか ほか)黒島伝治(1898-1943)は、兵士、農民、労働者の哀しさ、戦争の惨さを、抑制された文体により短篇小説、随筆にまとめた。戦争(シベリア,中国)、農民、郷土に関わる作品を精選する。地を這う者達の静かにして必死なる抗議と抵抗の叫び声を見事な言葉に転換したのは、黒島文学の稀有なる達成である。
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